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サイト名での指名検索数に比例して、SEOが強くなる。
SEO事業者から見ても、ここ1~2年で一気にSEOが難しくなっていると感じます。
コンテンツもテクニカル(内部対策)も一生懸命がんばったのに、思ったような成果が上がらないという事案が増えています。
これは一般的に、「コンテンツではなくドメインの強さが評価に直結してるから」「オーソリティ優遇の傾向が加速したから」と解釈されているようですが、
SEOの現場にいる者としてはどうも、事はそんなに単純ではないと感じます。
このコラムの結論は、Googleは「(サイト名)指名検索の量を取っ掛かりに、ユーザーから選ばれるサイトを選定し評価している」というものです。
ここでは、私がそう考えるようになった背景であるいくつかのサンプルを共有します。
注)念のためお伝えしておくと、ここでお伝えしたいのは「ユーザーから選ばれるサイトはSEO強者」ということであって、コンテンツや内部対策、被リンクには意味が無い、という意味ではありませんので誤解のないようにご注意ください。それらはもちろん、依然として大切です。
目次
ECサイトAの事例
あるキーワードジャンルでSEOがとても強いECサイトです。
実際のサイトに配慮しつつ読者の方にわかりやすいように、ここでは仮に「ラーメン」の通販サイトとします。
このサイトAは「しょうゆラーメン」に関するキーワードでほとんど上位表示しています。
「しょうゆラーメン 味玉」といったかけ合わせはもちろんのこと、「背脂」や「旭川らーめん」のように単語として「しょうゆ」を内包しないけど「しょうゆラーメン」に関係しているワードでも1~3位を獲得しています。
ちなみにサイトAは「しおラーメン」や「みそラーメン」も取り扱っています。
ところが、「しおラーメン」やその関連ワードのSEOでは、ライバルサイトBに負けています。
また、「みそラーメン」やその関連ワードでは、別のライバルサイトCに完敗の状態です。
当たり前ですが、このサイトAが「しょうゆラーメン」だけ特別にコンテンツを作っているとか、しょうゆのディレクトリだけテクニカル施策を実施しているとか、そんな事はありません。
3サイトの間で品揃えにも大きな差はありません。
興味深いことに、かつてこのサイトAは、「しおラーメン」領域においてサイトBよりも高い上位表示率を有していました。
ところが、2021年2月をピークにサイトBに逆転され、ダウントレンドとなります。
ここで、この記事の主題である「指名検索」を見てみます。
この手の調査を行うときにGoogleトレンドの「過去5年間」メニューはとても頼りになります。
※ キーワード欄は画像加工しています
おわかりいただけますでしょうか?
2021年2月を境に、サイトAとサイトBの「サイト名 しおラーメン」の検索ボリュームが逆転しています。
これは、この前後にユーザーは「しおラーメンといえばサイトBだよね」という風潮となり、Googleの検索結果にもそれが反映されたということではないでしょうか?
ちなみにサイトCがダントツで強かった「みそラーメン」のトレンドはこんな感じです。
ここで、「そんなのニワトリたまごだよ、SEOが強くなったから知名度が上がって指名検索が増えたとも言えるでしょ」というご指摘が頭をよぎった読者の方は非常に聡明です、まさにその通り。
でも、だったらなぜサイトAは「しょうゆラーメン」のSEOでこれだけ圧倒しておきながら、いつまで経っても「みそラーメン」分野で上位化できないのでしょうか?
また、2021年以降サイトBが「しおラーメン」分野だけ他サイトよりも特別に評価されている理由はなんなのでしょうか?
ECサイトXの事例
また別の事例をお話します。
(ほぼ)全世界に通販対応しているグローバルECサイトです。
このサイトはすごいです。アフリカで商品が売れまくっています。それというのも、英語を公用語としているアフリカ圏の国々(例えばタンザニア)でのSEOで大成功しているからです。
ところがアメリカでのSEOはいまいちです。
アフリカの検索結果ではeBayやAmazon相手に無双状態なのに、アメリカ内でのSEOではそれらにまったくかないません。同じサイト、同じ言語(英語)、同じSEO対策なのに、です。
※ 以下はサイトXにおけるグローバルSEOトラフィックの分布図
ここでも指名検索のボリュームに注目してみました。
それというのも、アフリカの国(ここではタンザニア)における指名キーワードの検索数と、アメリカでのそれとの差に7.5倍もの開きがあったからです。
(ちなみにタンザニアの人口はアメリカの5分の1です)
実際、このECサイトの運営会社様はタンザニアを始めとするアフリカ各国に実店舗を構え、現地の政府と連携した地域貢献などの甲斐もあって、アフリカ諸国における極めて好意的なブランド共感を得ている企業なのでした。
もちろん指名検索数だけが評価対象ではないと思います
今回はわかりやすく指名検索数だけに着目しましたが、実際のGoogleはより複雑な処理を行っていると推測されます。
(指名検索数だけ評価基準にしていてはネガティブ要因、いわゆる炎上事案でもSEOを強くしてしまいますから)
俗にいう「サイテーション」(他サイトやSNSにおける指名に対する言及)などもその一環でしょうし、
サイト名と複合してどんな単語(形態素)が用いられているかなども判断基準としているのでしょう。
指名検索される ≒ 選ばれるサイトになるために
(炎上抜きで)長期に渡って指名検索が増えているということは、ユーザーの関心を集め何度も訪れたいサービスになっていると捉えることができます。
この土台が整って初めて、コンテンツやテクニカルSEOが効果を発揮するようになっていると強く感じます。
じゃあ、結局どうすればいいの!とお感じになる方も多いかと思いますが、
残念ながらこれはもう、「SEOだけでどうにかしよう」という次元のテーマでは無いですよね。
マス広告ですら、SEOの強化に貢献しうるということでもあります。
パッと思いつくWeb上での汎用的な取り組みは以下のようなものになるでしょうか。
- ・独自性があって覚えやすいサービス名にする(「ラーメン比較」といった凡庸でいかにもSEOなサイト名はよくない)
- ・商材やコンテンツをまんべんなく取り揃えるよりも、特化する(特定分野でのひとかどの存在を目指す)
- ・旬の話題を扱う(定期的に更新をチェックしたくなるように)
- ・再訪を促すためのチャネル構築(例:メルマガ)
- ・SNSを通じたプレゼンス強化
こう考えると、すでにTwitterやYouTubeで特定トピックのインフルエンサーとなっている方などが、
独自ドメインでSEOドリブンなWebサイトを展開する、というのは理にかなっていそうですね。
(今はサブディレクト借りSEOが盛んですが、次はインフルエンサーの名義狩りSEOなんてものに目をつける輩も出現するかもですね)
皆様はいかがお感じになられるでしょうか?
ぜひご意見いただけましたら嬉しいです。
片川創太
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