カブキブログ

どうする、どうなるGA4!?あなたの会社は大丈夫?

GA4強制移行

GA4についてはすでに数多くの解説が世の中に出回っていますが、
基本的には「すごいんだ!」という内容であって、その負の側面にはあまり触れられていないように思います。

いたずらに危機感を煽るのは本意ではありませんが、
GA4によって、これまで高機能かつ無料のUA(Universal Analytics。ようするに旧GAのことです)に依存してきた多くのWeb関係者の仕事の仕方が(あまり良くない意味で)激変します。

そこで、2022年6月現在のGA4をとりまく実態について、Web屋目線でなるべく簡潔に、サクッと短時間で理解できるようにお伝えするのがこの記事の目的です。

GA4のあらましや設定方法について知りたいという方は、アクセス解析の大家であられる小川卓さん作成のGoogle Analytics 4 ガイドという素晴らしいサイトがありますので、こちらも合わせて御覧ください。

この記事に関係のある方々

  • ・インハウスのWeb担当者
  • ・Webマーケティングサービスのベンダー
  • ・Webサービス開発者

まず、GA4について知っておいていただきたい大事なこと

  • ・2023年7月1日から、UA(くどいようですがUniversal Analytics。旧GAのことです)のデータ取得はストップされます。
  • ・2024年1月1日から、UAが収集したデータの閲覧すらできなくなります。
  • ・UAとGA4はまったく別のツールですので、当然データの引き継ぎはできません。
  • ・つまり、我々は否応なく1年以内にGA4に以降することを迫られているのが現状です。

GA4とUAの違い

  • ・UAは「セッション」の計測に優れている。
  • ・それに対してGA4は、「イベント」計測とAIをフル活用することによって「ユーザー行動」の分析に強い、という触れ込み。
  • ・しかし現状、はっきりいってGA4はUAの下位互換です。

ここがダメだよGA4

くどいようですが、多くのユーザーにとって現状のGA4はUAの下位互換です。

(1)UAで当たり前だったデータがデフォルトで閲覧できない

例えば、オーガニック検索からのランディングページをみたい、とします。
UAであればレポートの「集客 → キャンペーン → オーガニック検索キーワード → ランディングページをクリック」とするだけで簡単にチェックできた項目です。

UAなら専門知識がなくともデータの絞り込みができたが・・・
UA「集客 → オーガニック検索キーワード → ランディングページ」

こんな簡単なことがGA4ではできません。
GA4の標準ダッシュボードである「レポートのスナップショット」にはそれらしいグラフが並んでいます。
これらはもっともらしい雰囲気こそ出しているものの、どれもこれもありふれたデータで、賑やかし以外の何物でもありません。

使い物にならない「レポートのスナップショット」
GA4の「レポートのスナップショット」

そこで用いられるのがGA4の「探索」メニューです。
これは「ユーザーの好みのデータを得るために、数あるイベントを組み合わせて自由にレポートを作れるよ!」
という一見すばらしいメニューなのですが、
これまで普通に閲覧できたものをチェックするためにいちいちセグメントやディメンションを選択して、
「あーでもないこーでもない」
としなければならないので、はっきりいって面倒な手間が増えただけです。

普段あまりアクセス解析に触れて来なかった方では、使いこなすことすらままならないと思われます。

ライトユーザーに優しくない「探索」メニュー
GA4の「探索」レポート

(2)イベントをガンガン設定しないと真価を発揮できない

前述の通りGA4は「イベント」計測をフル活用することによって「ユーザー行動」の可視化に挑戦したツールです。
裏を返せば、「イベント」を設定しないとUAでできたユーザー分析すらできません。

例えばGA4では「コンバージョン」の設定すらイベントを用いて行います。

サンクスページの閲覧を条件にした問い合わせ件数の計測などは、
従来のUAなら「目標」画面からサクッと済ませる作業でした。

UAのコンバージョン設定画面。思えばシンプルながら高機能だった
UAのコンバージョン設定画面

ところが、GA4では、以下の通りステップが煩雑になったことで、UIが退化しています。

  • (1)まずサンクスページの閲覧を条件に独自のイベントを作る
  • (2)後日(!)イベントの発火を確認
  • (3)当該のイベントに「コンバージョン」のチェックをつける

GA4における目標設定はワンストップになっていない。すべては「イベント」の作成から
GA4のコンバージョン設定のために独自のイベントを作る

しかもこのときに作業上注意しなければいけないのが

page_locationの設定だけではサンクスページの特定は出来ません。なぜならpage_locationというイベントパラメータは他のイベントでも利用されているからです。page_locationだけを設定すると、どpage_locationを利用しているすべてのイベントが集計対象となってしまいます。イベントパラメータを条件に利用する場合は、あわせてイベント名も設定するようにしましょう。

GA4ガイド「イベントの作成」より一部引用
という部分。ほとんどの方が一度読んだだけで理解するのは難しいのではないでしょうか。

コンバージョン設定ですらこのような様相ですから、Google広告やBigQuery、EC連動などの設定ともなると推して知るべし。
さらにひどいことには多くのイベントパラメータについてUAと互換性がなく、
トラッキングコード以外はサイト側のHTML(もしくはタグマネージャー上で)ほぼ設定し直しを迫られることです。

Googleはドリームキャストから何も学ばなかったのか?

(注:正確にはタグマネを活用することで互換性を保つことも不可能では無いのですが、そのための設定がこれまた複雑怪奇、しかも運用に支障を来すような仕様になっているため決しておすすめできません)

GA4を取り巻くこれからの1年間を予想する

Web担当者の方

  • 残念ながらこれ、という代替ツールはありません。(ただしWordPressご利用の方限定ではあるものの、QAアナリティクスという国産プラグインは代替としておすすめできます)
  • いますぐGA4を導入して、データを蓄積しつつ操作になれるべきです。
    前述の通り設定するだけでは宝の持ち腐れになるツールですので、必要になりそうなイベントはどんどん設定してください。
  •     

  • 並行して2023年末が近づいた段階で、必要になりそうなUAの過去データもエクスポートして保管しておく必要がありますね。

上記を怠れば2023年6月を境にアクセス解析難民化して、上長や所属チームへの報告に難儀することになります。
なお、GA4の設定をベンダーに頼る場合、後述の「GA4フックの営業」はよーく吟味して選定するようにしてください。

Webマーケティングサービスのベンダー所属の方

おそらくGA4導入支援はしばらくの間一大ビジネスになるでしょう。
最初のうちは「有料で」という業者が勃興し、次第に他の商材のフックにするために無料を売りにする企業が多数派になると予想します。

ちなみに当社は現状、SEOコンサルティングのオプションとしてご希望のお客様に有料で提供してます。
これまで当たり前にできてたデータをGA4の探索で見れるようにするだけではUAも使える現状、お金をいただくのに気がひけるので、
データスタジオ連携なども活用して「せっかくだから今までより使いやすく、価値あるデータだけがパッとみえる」というのがコンセプト。

Web開発サイドの方

例えばECのカートイン時や購入完了時に出力していたUAのコードは、そのままですとGA4では使えません。
そのため今後、GA4用のイベントパラメータ出力オーダーが増加することが予想されます。

すでにカートASP各社では対応が始まっているところも多いかもしれませんね。

今回は全体的に愚痴っぽい内容になってしまいましたが、すいません!
この問題、ベンダーから見るととにかく想像以上に世間(Webサイトのオーナーさん)に知られていないと感じています。

UAからGA4への半強制移行はおそらく機会学習を一気に促進したいというGoogleの思惑の産物だと思いますが、結果としてWeb業界の誰もが他人ごとでは無い、のっぴきならない状況です。
無料だからしょうがない・・・と諦めることなく、できればUA時代以上に有意義なアクセス解析ができるように、
今の内から業界一丸となって取り組んでいくべき課題だと捉えています。

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片川創太

2010年ディーエムソリューションズ株式会社入社後、WEBコンサルタントとして活躍。ブログやセミナーなどを通じて当時としては先進的だった内部施策を中心としたSEOの普及に努めた。部長職を経て2015年2月独立。SEOと広告が得意でアクセス解析に詳しく、WEB制作も分かる社長です。趣味はMagic: the Gathering(主な戦績:第9期レガシー神挑戦者決定戦TOP4、GP北京2018TOP8など)。欠点は酒席で人が変わったように飲む事。